ウェブサイト移行SEOガイド:HTMLを超えて—PDF、画像、動画を忘れずに!

2024年8月26日 00:00|テクニカルSEO|読了目安:12 分

ウェブサイトの移行—ドメインの変更、プラットフォームのアップグレード(WordPressから別のCMSへの移行など)、サーバーアーキテクチャの見直しなど—は、大規模なプロジェクトです。経験者なら誰でも知っているように、わずかなミスがトラフィックとランキングを一晩で急落させる可能性があります。

通常、焦点はHTMLページのコンテンツ移行、URLリダイレクトの設定、技術的な設定に当てられます。これらはもちろん重要ですが、しばしば見過ごされる重要な点があります:検索エンジンはHTMLページだけをインデックスし、ランク付けするわけではありません! あなたのサイトには、トラフィックに貢献したり、貴重なバックリンクを保持しているPDFドキュメント、画像、さらには動画が豊富にある可能性があります。

移行中にこれらの非HTMLアセットが無視されると、重大なトラフィック損失とSEOパフォーマンスの低下を招くリスクがあります。

この記事では、移行戦略を立てる際にHTMLページを超えて考える方法を探ります。PDF、画像、動画といった見過ごされがちなアセットを取り入れ、最適化の機会を捉え、スムーズな移行を確保する方法—さらには移行を機にSEOを向上させる方法—について解説します。これは、カスタムCMSや複雑な技術スタックを持つ企業ウェブサイトにとって特に重要です。

1. PDFドキュメント:忘れられたトラフィック源と最適化の機会

多くのウェブサイト、特にB2B、教育、政府、金融分野のサイトでは、多数のPDFドキュメント(ホワイトペーパー、レポート、製品マニュアルなど)をホストしています。これらを過小評価してはいけません。時にはかなりのオーガニックトラフィックをもたらし、価値のあるバックリンクを蓄積することがあります。

移行前に、在庫を確認する:

  1. PDFアセットの監査: サイトにPDFはいくつありますか?どこにありますか?
  2. その価値を評価する:
    • トラフィックへの貢献: Google Analytics (GA4) を使用して、PDFの閲覧数とソースを確認します。オーガニック検索トラフィックをもたらしていますか?
    • バックリンクの価値: AhrefsやSEMrushなどのツールを使用して、外部サイトがあなたのPDFにリンクしているか確認します。これらのリンクの質はどうですか?
    • 内部リンク: サイト内でPDFはどのようにリンクされていますか?

監査の実施方法:

  • SEOクローラー: SeoSpeedupのサイトクローラー、Screaming Frog、Sitebulbなどのツールを使用してサイトをクロールし、.pdfで終わるURLをフィルタリングします。
  • Search Console: Google Search Consoleは、インデックス状況とトラフィックに関するデータを提供できます。
  • site:演算子: Google検索でsite:yourdomain.com filetype:pdfを使用して、インデックスされているPDFのおおよその状況を把握します。

移行戦略と最適化の機会:

a. PDFをHTMLに変換する:実現可能か?

移行前に、真剣に検討してください:このPDFコンテンツはHTMLページに変換できますか?

PDFは印刷に適したフォーマットという利点がありますが、SEOにとってはHTMLに変換する方が一般的に優れています:

  • クロールとインデックス: HTMLは検索エンジンがクロールし、理解しやすいです。
  • アクセシビリティ: スクリーンリーダーや障害を持つユーザーにとってより親和性が高いです。
  • モバイルフレンドリー: HTMLはレスポンシブデザインを可能にし、モバイル体験を向上させます。
  • 読み込み速度: HTMLページは同等のPDFよりも通常速く読み込まれます。
  • リンクエクイティ: HTMLページはPageRankをより効果的に獲得し、渡します。
  • コンテンツの更新: HTMLの維持と更新ははるかに簡単です。
  • 構造化データ: HTMLにはリッチスニペットのためにSchema.orgマークアップを追加できます。

PDFのコンテンツが価値があり、ウェブページに適している場合、移行時に変換することで長期的なSEOのメリットが得られます。

b. PDFホスティング戦略:どこに保管するか?

PDF形式を維持する場合、しっかりとしたホスティング計画が必要です。

  • ホスティング場所: PDFをメインのウェブサーバーに置くか、オブジェクトストレージ(AWS S3、Azure Blob Storage、Google Cloud Storageなど)を使用しますか?オブジェクトストレージは、コスト、スケーラビリティ、CDN統合の点で優れていることが多いです。
  • URL構造: 移行後、PDFのURLは変わりますか?オブジェクトストレージやCDNを使用する場合、プライマリドメイン(またはfiles.yourdomain.comのようなサブドメイン)経由でアクセスできますか?URLの変更は、内部および外部リンクに直接影響します。

開発チームとホスティング計画およびURLの規則を明確にしてください。

c. リダイレクト!リダイレクト!リダイレクト!

トラフィックをもたらす、価値のあるバックリンクを持つ、またはHTMLページに変換されたPDFについては、古いURLと新しいURLの間に301リダイレクトを設定する必要があります。 これは、リンクエクイティが渡され、ユーザーが行き止まりに遭遇しないようにするための重要なステップです。

必要なすべてのPDFリダイレクトをリダイレクションマップに追加してください。

d. クリーンアップとインデックス管理

移行は、冗長なファイルをクリーンアップし、不適切なインデックスを修正する絶好の機会です。

  • 不要なPDFの削除: 古くて価値の低いPDFで削除できるものはありますか?
  • 不要なPDFのブロック: 検索結果に表示させたくないPDF(内部文書、古いポリシーバージョンなど)もあります。これは次のように管理できます:
    • robots.txt Disallow: クロールを防ぎます。
    • X-Robots-Tag: noindex HTTPヘッダー: クロールは許可するがインデックスは防ぎます(リンクシグナルを一部渡せるため、robots.txtより推奨されます)。
    • アクセス制御: 機密ファイルについては、サーバーレベルでアクセスを制限します。

例えば、ある保険会社のクライアントでは、契約詳細がインデックスされていました。移行時にX-Robots-Tagを使用して、それらを正常にデインデックスしました。

リスク警告:

  • リダイレクトを無視するのは大惨事です。 価値のあるPDFをリダイレクトしないと、トラフィックとリンクエクイティが失われます。
  • データをベンチマークする。 移行前に、主要なPDFのURL、トラフィック、バックリンクを記録し、移行後に比較してトラブルシューティングに役立ててください。

2. 画像:ビジュアルもトラフィックの入り口

画像はeコマース、旅行、デザイン、レシピサイトにとって不可欠であり、画像検索を通じてかなりのトラフィックをもたらすことがあります。画像の移行戦略は交渉の余地がありません。

移行戦略と最適化の機会:

a. XML画像サイトマップ:インデックスを加速

新しいサイトの画像を検索エンジンが発見し、インデックスするのには時間がかかることがあります。これを高速化するためには、以下のことを強くお勧めします:

  • 専用の画像サイトマップを作成する: すべての重要な画像URLをimage-sitemap.xmlファイルに含めます。
  • または、標準のXMLサイトマップに画像情報を埋め込む: ページのURLエントリ内で<image:image>タグを使用します。

これにより、検索エンジンは画像をより速く発見し、関連するページコンテンツと関連付けることができ、画像検索での可視性が向上します。

b. Altテキスト:移行前後で優先事項

Altテキストは、画像SEOとアクセシビリティの基本です。

  • 移行前監査: 現在のサイトでAltテキストが欠けていませんか?一般的すぎませんか?関連キーワードで最適化できますか?
  • 移行時の実装: 新しいサイトのすべての意味のある画像に、説明的なAltテキストがあることを確認してください。

c. ページ速度と画像最適化:行動を起こす絶好の機会

画像は、ページの読み込みが遅くなる最大の原因となることが多いです。サイトの移行は、画像パフォーマンスを全面的に見直す絶好の機会です。SeoSpeedupのサイト監査は、どの画像に注意が必要かを正確に特定できます。開発チームと以下の一般的な最適化について話し合ってください:

  • リサイズと圧縮: アップロード前に画像を適切なサイズにし、TinyPNGやSquooshなどのツールで圧縮します。
  • レスポンシブ画像(<img srcset>): ユーザーのデバイスに基づいて異なるサイズの画像を提供します。
  • 遅延読み込み: 画面外の画像にはHTMLのloading="lazy"属性を使用します。
  • モダンなフォーマット: より良い圧縮と品質のために、JPEG/PNGよりもWebPやAVIFを優先します。
  • 画像CDN: CloudflareやAWS CloudFrontなどのCDNを使用して、ユーザーに近いエッジロケーションから画像を配信します。
  • 優先ヒント: LCP(Largest Contentful Paint)画像にはfetchpriority="high"を使用して、ブラウザに最初に読み込むよう指示します。

d. 画像内のテキストを避ける

検索エンジンは画像に埋め込まれたテキストを読むことができません。重要な情報(見出し、CTA、連絡先情報)が画像の一部である場合、それらは検索エンジンにとって見えません。

移行時に、このテキストを抽出し、標準のHTMLテキストとして表示してください。この簡単な変更後、サービスページのランキングが劇的に向上するのを見てきました。

e. 画像構造化データ(Schema.org)

Schema.orgを使用して、画像にリッチなコンテキストを追加します。

  • ImageObject: 著者、著作権、説明などの詳細をマークアップします。
  • primaryImageOfPage: ページの主要な代表画像を特定します。

一部の移行では優先度が低いかもしれませんが、画像SEOがビジネスにとって重要であれば、実装する価値があります。

リスク警告:

  • 画像トラフィックを監視する。 画像検索から significant なトラフィックを得ている場合は、移行後にGoogle Search Console(パフォーマンスレポート > 検索タイプ:画像)で注意深く監視してください。
  • CDNドメインを確認する。 カスタムサブドメイン(例:img.yourdomain.com)を持つCDNを使用している場合は、GSCで別のプロパティとして確認し、そのインデックスとパフォーマンスを監視します。

GSCでの画像トラッキング

3. 動画:コンテンツはリダイレクトできず、埋め込みが鍵

ウェブページやPDFとは異なり、動画ファイル自体は通常301リダイレクトできません

動画移行の基本原則は次のとおりです:古いサイトのページに動画が埋め込まれていた場合、新しいサイトの対応するページにも同じ動画が埋め込まれていることを確認する。

移行戦略と最適化の機会:

a. 動画サイトマップ:検索エンジンに場所を伝える

画像と同様に、専用の動画サイトマップまたは標準のXMLサイトマップに動画情報(<video:video>タグ)を埋め込むことで、検索エンジンは動画をはるかに速く発見し、インデックスできます。

The Guardianの動画サイトマップの例

b. 動画ホスティングとCDN

移行は、動画ホスティング戦略を見直す絶好の機会です。

  • セルフホスティング+CDN: 独自のサーバーまたはオブジェクトストレージにファイルを保存し、CDNを使用します。完全な制御が可能ですが、エンコーディングやプレーヤーを自分で管理する必要があります。
  • ビデオクラウドサービス: AWS Media ServicesやGoogle Cloud Transcoderなどのプラットフォームを使用します。これらは、トランスコーディング、ストレージ、配信のエンドツーエンドのソリューションを提供します。
  • サードパーティプラットフォーム: YouTubeやVimeoでホストし、サイトに埋め込みます。
    • 長所: プラットフォームのトラフィックを活用し、ホスティングコストを節約できます。
    • 短所: ユーザーをサイト外に送り、ドメインのSEO価値が限定され、ブランドコントロールが少なくなります。

サイトにトラフィックを維持するためには、最初の2つのオプションが望ましいです。

c. 動画構造化データ(Schema.org)

構造化データは、動画SEOにとって不可欠です。

  • VideoObject: タイトル、説明、サムネイルURL、アップロード日、再生時間をマークアップします。
  • Clip: タイムスタンプとラベルでキーモーメントをマークアップします。これにより、Google検索で「キーモーメント」リッチスニペットを獲得するのに役立ちます。
  • InteractionCounter: 視聴回数をマークアップします。

適切に実装された動画スキーマは、検索結果での可視性を大幅に向上させることができます。

リスク警告:

  • 新しいページに動画が存在することを確認する。 最も重要なタスクは、動画の埋め込みがあるすべてのページを監査し、新しいサイトでそれらが複製されていることを確認することです。
  • データをベンチマークする。 移行前に、動画のインデックスデータ(GSCの「動画ページ」レポートから)、アナリティクス、動画のあるページへのトラフィックを記録します。移行後にこのデータを比較して、問題を発見します。

GSCの動画ページレポート

結論:徹底的に計画し、見落としなく

ウェブサイトの移行は複雑です。HTMLページが優先事項ですが、PDF、画像、動画などの非HTMLアセットを無視するわけにはいきません。これらはサイトのトラフィック、ユーザーエクスペリエンス、全体的な検索パフォーマンスに不可欠です。

移行計画段階で、必ず次のことを行ってください:

  1. 完全な監査を実施する: すべての非HTMLアセットをカタログ化します。SeoSpeedupはこの発見プロセスを自動化できます。
  2. 価値を評価する: 現在のトラフィックとSEOへの貢献度を分析します。
  3. 戦略を定義する: 各アセットタイプを変換、維持、リダイレクト、最適化、またはクリーンアップするかを決定します。
  4. データをベンチマークする: 移行後の分析のために、移行前のメトリクスを記録します。
  5. 協力する: 開発、コンテンツ、デザインチームと明確にコミュニケーションを取ります。
  6. 移行後を監視する: すべての主要なメトリクスを追跡して、問題を迅速に特定し、修正します。

包括的な非HTMLアセット移行計画に時間を投資することで、潜在的な災害を防ぐだけでなく、SEOを向上させる新たな機会を切り開くことができます。これらの「脇役」が、あなたの成功した移行を台無しにしないようにしてください。