多言語サイトの内部SEO対策:成果を出すための10の実践的なヒント

2024年7月30日 00:00|テクニカルSEO|読了目安:9 分

Googleが1秒間に10万件以上の検索を処理する現代において、ウェブサイトを目立たせるのは容易ではありません。特に、複数の言語や地域に対応するサイトの場合、その難易度はさらに高まります。例えば、フランスにいるユーザーが、スペイン語版ではなくフランス語版のサイトを確実に見つけられるようにするには、どうすればよいのでしょうか?

その答えは、**多言語サイトにおける内部SEO(On-Page SEO)**を習得することにあります。

これは単なる翻訳作業をはるかに超えるものです。サイトの構造を検索エンジンに正しく伝え、異なる文化圏のユニークな検索習慣を理解し、重複コンテンツとしてペナルティを受けるといった致命的なミスを避けることが求められます。

ここでは、多言語サイトの内部SEOを成功させ、世界中からターゲットとなるオーガニックトラフィックを引き寄せるための、実践的で効果的な10のヒントをご紹介します。

1. URL構造を慎重に計画する

まず、ターゲットユーザーをで区切るのか、それとも言語で区切るのかを決定する必要があります。

  • 国別ターゲティング (ccTLD): 特定の国(例:フランス、ドイツ)をターゲットにする場合、.fr.deといった国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)を使用するのが、検索エンジンに対して最も明確なシグナルとなります。
  • 言語別ターゲティング (サブディレクトリまたはサブドメイン): 特定の言語の話者を地域を越えてターゲットにする場合(例:世界中のスペイン語話者)、サブディレクトリ (yoursite.com/es/) またはサブドメイン (es.yoursite.com) が適しています。
    • サブディレクトリ: 一般的に推奨されます。管理が容易で、ドメイン全体の権威性を集約しやすい利点があります。
    • サブドメイン: Googleからは別のエンティティとして扱われるため、SEOの権威性が分散する可能性がありますが、地域ごとにサーバーを分けるなど、ホスティングの柔軟性が高まります。
  • ハイブリッドターゲティング: yoursite.at/de/ のように、オーストリアのドイツ語話者をターゲットにするなど、手法を組み合わせることも可能です。

多言語サイトのURL構造

唯一の正解はありませんが、それぞれの長所と短所を理解することが、国際的なSEO戦略の成功の基盤となります。

2. hreflangタグをマスターする

URL構造が決まったら、次に各ページがどの言語と地域を対象としているかを検索エンジンに伝える必要があります。ここで重要な役割を果たすのがhreflang属性です。

hreflangタグは、異なる言語バージョン間の関係性を明確にするためのコードスニペットです。これにより、各ページが重複コンテンツと見なされるのを防ぎ、Googleが適切なユーザーに適切なバージョンを提供できるようになります。

Business Insurance USAの創設者であるSam Meenasian氏は、「Hreflangは、SEOの中でも最も複雑な側面の一つと言えるでしょう」と認めています。

hreflangは、HTMLの<head>セクション、HTTPヘッダー、またはXMLサイトマップの3つの方法で実装できます。

カナダのフランス語話者をターゲットにするページの例: <link rel="alternate" hreflang="fr-ca" href="http://yoursite.com/fr-ca/" />

x-default値を忘れずに: これは、指定したどの言語/地域にも一致しないユーザー向けのフォールバックページを指定します。 <link rel="alternate" hreflang="x-default" href="https://example.com/en/" />

実装方法:

  1. HTML <head>: 最も一般的ですが、言語バージョンが多い場合、ページのコードが肥大化する可能性があります。
  2. HTTPヘッダー: PDFなどの非HTMLファイルに最適です。
  3. XMLサイトマップ: 大規模サイトに推奨される方法です。HTMLをクリーンに保ち、管理が容易になります。SeoSpeedupのサイトマップジェネレーターのようなツールは、この構造を正しく設定するのに役立ちます。

hreflangの重要なルール:

  • タグは相互的でなければなりません。ページAがページBにリンクする場合、ページBもページAにリンクバックする必要があります。
  • 絶対的で正規なURLを使用してください。
  • 正しいISO 639-1言語コードとISO 3166-1 Alpha 2地域コードを使用してください。

3. クリーンな多言語サイトマップを作成する

大規模サイトでは、単一の巨大なサイトマップは非現実的です。代わりに、言語と地域の組み合わせごとに個別のXMLサイトマップを作成し、それらをサイトマップインデックスファイルにまとめるのが賢明です。

例:

  • www.yoursite.com/us/en/sitemap.xml
  • www.yoursite.com/us/es/sitemap.xml

この整理された構造により、検索エンジンは全てのローカライズ版を容易に発見し、クロールできます。サイトマップインデックスファイルをGoogle Search Consoleなどのウェブマスターツールに送信してください。

4. ページごとに単一の言語を維持する

1つのページに複数の言語を混在させることは避けましょう。特に、メインコンテンツとナビゲーションは重要です。本文は翻訳されているのに、ヘッダーやフッターが英語のままでは、ユーザー体験を損ない、検索エンジンに混乱したシグナルを送ることになります。

全てを翻訳する:

  • 本文コンテンツ
  • ナビゲーションメニュー
  • ヘッダーとフッターのテキスト
  • ボタンのテキストやフォームフィールド

言語の一貫性を保つことは、ユーザーの信頼を築き、SEOを向上させます。

5. キーワードは翻訳ではなく、ローカライズする

これは国際SEOで最もよくある間違いです。キーワードのローカライズは、キーワードの翻訳と同じではありません。

ターゲットとなるオーディエンスが、母国語で実際にどのように検索しているかを調査する必要があります。

  • 検索ボリュームの違い: ある単語は一つの言語では頻繁に検索されても、別の言語ではほとんど検索されないことがあります。
  • 方言や言い回しの違い: イギリス英語の「Holiday」は、アメリカ英語では「Vacation」です。
  • 文化的な意図の違い: あなたの製品が解決する問題は、他の文化では全く異なる形で表現されるかもしれません。

実践方法:

  1. ローカライズされたツールを使用する: AhrefsやSEMrushのようなツールで、調査対象国を設定してリサーチします。
  2. 現地の競合を分析する: 現地の市場で上位にランクインしている競合他社が、どのキーワードをターゲットにしているかを調査します。
  3. 文化的に考える: 文字通りの翻訳を超えて、ユーザーの真の意図を理解します。

ターゲット市場ごとに個別で詳細なキーワード調査を行うことは、成功のために不可欠です。

6. コンテンツをローカライズする:言葉を超えて文化に寄り添う

質の高いコンテンツはSEOの基本です。多言語サイトにとって、これは単なる翻訳ではなくローカライゼーションを意味します。

ローカライゼーションで考慮すべき点:

  • 文化的規範: 現地で共感を呼ぶ画像、色、表現を使用します。
  • 測定単位: メートル法とヤード・ポンド法など。
  • 通貨と支払い方法: 現地通貨を表示し、一般的な支払い方法を提供します。
  • 日付と時刻の形式。
  • 現地の法律や規制。
  • ビジュアル要素: 現地の人々や風景をフィーチャーした画像や動画を使用します。

マクドナルドはこの達人です。各国の味覚や文化に合わせてメニュー、プロモーション、ウェブサイトのビジュアルを調整しています。

マクドナルド 日本 vs オーストラリア

ローカライズされたコンテンツは、オーディエンスとのより強いつながりを築き、エンゲージメントとコンバージョンを高めます。

7. メタデータを翻訳する

検索結果ページ(SERP)に表示される要素を忘れてはいけません。メタデータは、クリックを獲得するためのセールストークです。

翻訳と最適化の対象:

  • タイトルタグ (<title>): SERPの青いリンク。
  • メタディスクリプション (<meta name="description">): タイトルの下の説明文。
  • 画像のALTテキスト: 画像検索とアクセシビリティに貢献します。
  • URLスラッグ: 例:/best-running-shoes/ vs /saiko-no-running-shu-zu/

ローカライズしたキーワードをこれらのメタデータに自然に組み込むことで、各ターゲット市場での可視性とクリックスルー率を最大化します。

8. グローバルなページスピードを最適化する

ページスピードは中心的なランキング要因であり、ユーザー体験にとって極めて重要です。多言語サイトでは、世界の反対側からサーバーにアクセスするユーザーは、大幅な遅延を経験する可能性があります。

高速化の方法:

  • コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)を利用する: CDNはサイトのキャッシュコピーを世界中のサーバーに保存し、ユーザーに最も近いサーバーからコンテンツを配信します。
  • 画像を最適化する: 画像を圧縮し、WebPのような最新のフォーマットを使用します。
  • キャッシングとGzip圧縮を有効にする。
  • コード(CSS, JavaScript)を最小化する。

全てのユーザーに、場所に関わらず高速な体験を提供することは、顧客維持とコンバージョンに不可欠です。

9. 明確な言語セレクターを設置する

ユーザーが希望の言語や地域に簡単に切り替えられるようにしましょう。

ベストプラクティス:

  • 目立つ場所に配置する: ヘッダーやフッターに設置します。
  • 明確なラベルを使用する: 「German」ではなく「Deutsch」のように、言語の完全な名称を使用します。
  • 国旗だけの使用は避ける: 国旗は国を表し、言語を表すわけではありません。国旗を使用する場合は、テキストラベルと組み合わせましょう。
  • 選択肢を提供する: ブラウザの設定に基づいてバージョンを提案することはできますが、ユーザーがいつでも簡単に変更できるようにしてください。

言語セレクター

直感的な言語セレクターは、ユーザー体験を劇的に向上させます。

10. 継続的に監視し、監査する

多言語サイトは、単一言語のサイトよりも多くの可動部品と潜在的な障害点を持っています。継続的な監視が鍵となります。

追跡すべき項目:

  • 技術的なエラー: Google Search Consoleを使用して、hreflangエラー、クロールに関する問題、モバイルユーザビリティの問題を各バージョンで監視します。
  • キーワードランキングとトラフィック: 各ターゲット市場でのパフォーマンスを個別に追跡します。
  • ユーザー行動指標: Google Analyticsで、言語/地域ごとの直帰率、セッション時間、コンバージョン率を分析します。

SeoSpeedupのサイト監査は、このプロセスを自動化し、hreflangの競合、リンク切れ、その他の国際的なSEOの問題を継続的にチェックし、明確で優先順位付けされた修正リストを提供するのに役立ちます。

まとめ

多言語ウェブサイトの最適化は、複雑ですがやりがいのある取り組みです。URL構造、hreflangの実装、コンテンツのローカライゼーション、技術的なパフォーマンスに体系的に取り組むことで、強力なグローバルプレゼンスを築くことができます。これら10のヒントは、よくある落とし穴を避け、国際的なオーディエンスと真につながるための堅固なフレームワークを提供します。