【事例研究】内部リンク最適化でオーガニックトラフィックを277%増加させた方法

2024年7月31日 00:00|SEOケーススタディ|読了目安:5 分

今日お話しするのは、被リンクでも、キーワード調査でも、あるいは重複コンテンツでもありません。今回は、SEOの基礎でありながら、しばしば見過ごされがちな要素、内部リンクに焦点を当てます。

優れた内部リンク戦略は、クロールの最適化、新規ページの発見、そして最終的にはより広範なキーワードでのランキング獲得に不可欠です。この事例研究を最後までお読みいただければ、ターゲットを絞った内部リンク戦略を活用して、ECサイトでいかにして大きなSEOの成果を上げたかをご理解いただけるでしょう。

まず、簡単な復習から始めましょう。

内部リンクとは、自社ウェブサイト内のページ同士を繋ぐことです。これはサイトの構造を定義し、ユーザーのナビゲーションを簡素化し、そして最も重要なこととして、検索エンジンのボットをコンテンツを通じて誘導します。

クロール最適化とは、検索エンジンのボットがサイト上のコンテンツを効率的に発見し、アクセスできるようにするための技術的な手法を指します。ボットはリンクをたどってウェブサイトを探索するため、論理的なリンク構造は、最も重要なページが確実に見つけられ、分析され、インデックスされるために不可欠です。

クロールバジェットについてさらに詳しく知りたい方は、こちらのガイドをご覧ください。

クライアントの状況:初期のKPI

私たちが担当したのは、サイト構造がSEOのパフォーマンスを妨げていたあるECクライアントです。

最適化前の状態:

  • インデックス済みページ数: 潜在的なURL559件のうち、161件のみ。
  • キーワード順位: 上位100位以内に410キーワード(うち上位10位以内はわずか6件)。
  • 総検索ボリューム(上位100位以内キーワード): 103,000

SeoSpeedupのサイト監査ツールを用いたSEO監査により、2つの大きな問題点がすぐに明らかになりました。

  1. 戦略的に重要なカテゴリページへの内部リンクが弱い。
  2. 孤立ページ(内部リンクが全くないページ)が多数存在する。

最適化前のページごとへの内部リンク数 出典: SeoSpeedupスクリーンショット - ページごとの内部リンク数

最適化前の孤立ページ率 出典: SeoSpeedupスクリーンショット - 孤立ページ率

3段階の内部リンク戦略

私たちのアプローチは、サイトのリンクエクイティの流れを整理し、クローラビリティを向上させるための3つの明確なアクションに焦点を当てました。

1. 冗長な内部リンクの削減

ECサイトでよく見られる間違いの一つに、リストページ(カテゴリページ)から同じ商品ページに対して複数のリンクが存在するケースがあります。一般的には、以下の要素にリンクが設置されています。

  • 商品画像
  • 商品名
  • 「詳しく見る」や「商品を見る」といったボタン

問題は、GoogleがHTML内で最初に出会ったリンクのアンカーテキストのみを考慮することが多い点です。もし最初のリンクが(汎用的なaltテキストを持つ)画像上にあれば、キーワードが豊富に含まれた商品名のリンクが持つセマンティックな価値が失われてしまいます。

さらに、この慣行は不要なリンクに「リンクエクイティ」を分散させてしまいます。私たちはテンプレートを合理化し、カテゴリ一覧からはセマンティックに価値のある単一のリンク(商品名)のみが各商品ページを指すように修正しました。

2. フッターのカスタマイズ

サイト全体で共通のフッターには、全てのページでSEO上必須とは言えない多くのリンク(例:「特定商取引法に基づく表記」)が含まれていました。これらのリンクは、サイト上の全ページからリンクエクイティを少しずつ奪っていました。

そこで私たちはカスタムフッターを導入しました。全ての管理系リンクを含む完全なフッターはホームページにのみ表示させ、他の全てのページテンプレート(カテゴリ、商品など)には、ユーザージャーニーとSEO戦略に関連するリンクのみを含む、合理化されたフッターを作成しました。

これは、ペナルティのリスクがあるグレーハット手法「リンククローキング」に代わる、ホワイトハットな手法です。フッターをカスタマイズすることで、検索エンジンのガイドラインに違反することなく、リンクエクイティをより効果的に配分するという同じ目標を達成しました。

3. 文脈に合わせた「サイロ」リンクの構築

最初の2つのステップは、リンクエクイティの整理と集約に関するものでした。最終ステップは、ページの発見可能性を向上させるための、新しい価値あるリンクの構築です。

目標は、Googleができるだけ多くの関連する商品リストページを発見できるようにすることでした。私たちは、カテゴリページのフッターエリアに文脈に合わせたリンクブロックを追加し、「サイロ化」と呼ばれる論理的なリンク構造を構築しました。

カテゴリに応じて、以下のようなリンクのネットワークを開発しました。

  • 「近隣の都市」: 地域ベースのサービスカテゴリ向け。
  • 「関連カテゴリ」: 商品カテゴリ向けに、兄弟または子カテゴリへのリンクを設置。

この最後のアクションは、サイト内で最も重要なリストページを特に強調し、クロールボットと新規ページの発見の両方を助けるものでした。

成果:3ヶ月での変革

この戦略を実行してから3ヶ月以内に、劇的な成果が現れました。

  • 日間クロール率: **62%**増加。

最終的な主要業績評価指標(KPI)

  • インデックス済みページ数: 559件の潜在URLのうち454件(改善前は161件)。
  • キーワード順位: 上位100位以内に1,900キーワード(改善前は410件)、うち上位10位以内は20件(改善前は6件)。
  • 総検索ボリューム(上位100位以内キーワード): 388,190(改善前は103,000)— 277%の増加

付加価値と結論

サイトの内部リンクを修正することで、検索エンジンが約300もの追加ページを発見できるようになりました。これは直接的にキーワードフットプリントの大幅な拡大と、主要キーワードからのトラフィック価値の3倍増につながりました。また、孤立ページの割合を20%削減することにも成功しました。

この事例研究は、適切に構造化された内部リンク戦略がいかに絶大な力を持つかを示しています。それは単なるナビゲーションのためだけではありません。検索エンジンがサイトの構造を理解し、コンテンツを発見し、重要なキーワードでランク付けするための明確なロードマップを作成することなのです。